移住・定住、「まちの魅力」発掘中! 県内の地域おこし協力隊員に聞きました!!

愛媛が好きですか。ずっと愛媛で暮らしたいですか。
「愛媛はいいところ」ってよく聞くけれど、愛媛の魅力って何でしょう?
生まれ育ったまちや都会を離れて、愛媛へ移住した人たちがいます。
愛媛だからこそ実現できる夢に向かって挑戦しています。
移住者の目線で見た愛媛の姿や愛媛の良さについて、
県内の自治体で地域おこし協力隊員として活動してきた3人に聞きました。

  • 山路 稜子さん 山形県出身・久万高原町に移住
  • 水野 裕之さん 千葉県出身・宇和島市に移住
  • 長尾 愛里さん 岡山県出身・西条市に移住

山路 稜子さん  山形県出身・久万高原町に移住

  • 自然や生き物が大好きで
    探し当てた町

     自然や歴史が大好きで知的好奇心旺盛な性格から、神社の巫女(みこ)や自然ガイドの仕事を経験してきた山路稜子さん(29)。2019年4月に久万高原町へ夫婦二人で移住しました。「生まれ育った東北とは異なる愛媛の温暖な土地に憧れていた」と言い、自然や野外体験活動の知識と経験を生かし、町の地域おこし協力隊員として面河山岳博物館で動植物の調査研究や自然学習指導に当たっています。農家になる夢を持つ夫と共に「本当にやりたいこと」を探し求めて選択したのが、この町でした。

  • 巫女から一念発起、資格取得へ学び直しも

     山形県鶴岡市で生まれ育ちました。霊峰出羽三山をいただく自然豊かなまちで、私も小さなころから自然や生き物に親しんできました。ただ、最初はそれを仕事にする考えはなくて。高校で進路を考えたときに、歴史や神社仏閣など古い建築物にも興味があったので、地元の出羽三山神社の職員募集を見つけ、巫女として就職しました。標高414メートルの羽黒山山頂にある、山岳信仰で有名な由緒ある神社です。4年間勤めましたが、このままここで一生を終えるのかなと考えたとき、他の土地にも行って外の世界を見たいなと思って退職しようと決めました。
     それから、自分が本当に好きなことって何だろうと考えました。やっぱり自然や生き物が好きなので、関連した仕事に就きたいと。しかし、職にできるほどの知識も経験もありませんでした。ならば学ぶしかないと、アウトドアに特化したカリキュラムを持つ「国際自然環境アウトドア専門学校」(通称i―nac)に入校。新潟県妙高市の自然豊かな環境の中で3年間、専門知識を学び、公益財団法人日本山岳ガイド協会が認定する自然ガイドの資格を取得しました。その後、栃木県の大型レジャー施設に就職。親子連れや子ども向けの里山ガイドを2年務めました。

  • 面河渓の美しさに感動、石鎚山の「かっこよさ」に衝撃

     専門学校時代に出会ったのが夫=山路隼之介さん(26)、大阪府出身=です。彼には「農業をやりたい」という夢があり、二人で本格的に移住先を探しました。いくつか候補はあったのですが、農業研修生制度があり、補助など条件が整っていた久万高原町に決めました。私は自然にかかわる仕事は続けたかったので、どうしようかと考えていたところへ、面河山岳博物館勤務の地域おこし協力隊員の募集を知りました。まさに「渡りに船」でしたね。
     事前に開かれた移住体験ツアーで国名勝「面河渓」を訪れたとき、水の透明度に驚きました。故郷を流れる最上川は深くて底が見えず暗い青緑色なんですが、面河渓は澄んだブルー。川底まで透き通っていて、その美しさに魅了されました。石鎚山を見たときも衝撃を受けました。四国には高い山のイメージがなかったのですがこんなかっこいい山があったのかと。修験道の霊峰ということも、前職の出羽三山神社とのご縁を感じました。もう、移住に迷いはありませんでした。

  • たくさんの動植物に出合える喜び、伝えたい

     面河山岳博物館には現在、学芸員1人と事務員1人、協力隊員の私の計4人がいます。学芸員と一緒に企画展や各種講座の企画を担当したり、久万高原町住民でつくる生物部「モモンガクラブ」の自然観察会なども手掛けています。
     昨年は自然との関わり方を幼児期から学んでもらおうと、町内の公園や面河渓で未就学児とその親を対象とした自然体験イベントを3回実施しました。子どもたちはアオダイショウを観察したり、アカハライモリなどを採集したり、生き物探しに夢中でしたね。自然の中で遊ぶ楽しさを、町内外の人たちに知ってもらうお手伝いができればうれしいです。
     久万高原町は「自然の中にまちがある」ので自然の楽しみ方も無限大。興味が尽きません。私はヘビが大好きなのですが、町中心部にある笛ヶ滝公園で夜間観察会を実施したとき、住宅近くで見るのは本当に珍しい「シロマダラ」というヘビが出てきて(笑)。他の町では普通に暮らしていたらなかなか出合わない生き物も身近にすんでいるんだということを、地元の方に知ってもらえたら嬉しいです。
     面河渓では、今まで図鑑でしか見たことのなかった憧れの花をたくさん観察することができます。昨年春には協力隊活動の調査報告も兼ねた冊子「面河渓に咲く花」をまとめました。久万高原町はスミレの種類も豊富で、よく見られる13種類をピックアップした冊子を現在作製中です。植物好きの方はどうぞ楽しみにしていてください!

  • 四季折々の表情が豊か。
    新発見の日々

     住んでみて良かったのはやはり、自然が美しいこと。ほどよく都市部にも近いところ。今は町中心部の久万地区に住んでいますが、徒歩0分で何か生き物に出合えます(笑)。博物館の帰り道では「タヌキを6匹見た」日も。「こんなところに、こんな花が咲いていたんだ」「今日はこんな動物に出会えた」と日々、発見があります。
     四季の表情がはっきりしていて、冬には雪遊びもできる。四国は雪とのかかわりが比較的少ない土地ですが、久万高原町の子どもたちが雪遊びの楽しさを知っているのは、すてきなことだなと思います。雪が降ると、ウサギなどの動物の足跡も見つけられます。こんなふうに生き物の息遣いを身近に感じられます。

  • よそ者ウエルカム!な「お遍路文化」に感謝

     バスの便が少ない、とか、スーパーが早く閉まるとか、もちろん不便なこともいっぱいありますが、自然が好きなので、それを上回る楽しみがあります。地元の人はお世話好き。「困ってることないか」と家族のように気にかけてくれる人もいて本当に心強いです。お遍路さんの文化があるからでしょうか、予想していた以上に「よそ者ウエルカム!」という印象で、ありがたいなあと思っています。
     2021年4月からは、農業研修生の夫がいよいよ農地を借りて町内で就農し、大好きなトマトの栽培を始めます。私の協力隊の任期も最終年度を迎えますが、これまでの活動でつながりができた人たちと関わっていきたいし、博物館をきっかけに地元の方が町の自然に興味を持ってもらえるような活動を続けていきたい。その中で、子どもたちが大人になる姿を見守っていければと思っています。

  • 就活生へMESSAGE

    「自分が本当にやりたいこと」考えて

     愛媛にはこんな企業があるんだ、とか、愛媛に魅力を感じて移住してきた人もいるんだということを知ってほしいですね。コロナ禍で、頑張っても報われないと感じている人がいたら、「今は充電期間なんだ」と考えて。いつか必ず落ち着くときが来るから、その日のために自分が本当に好きなこと、やりたいことを考えてみてください。私がここにいられるのは、運の良さもありますが、自ら考えて人生を選択してきた結果だとも思っています。いろんな選択肢を探してください。

水野 裕之さん 千葉県出身・宇和島市に移住

  • 九島の魅力まるごと味わえる拠点作りたい

     宇和島市沖に浮かぶ九島へ地域おこし協力隊として2018年2月に赴任した水野裕之さん(29)=千葉県市原市出身=には、学生時代から「いつかは自分の店を開く」という夢がありました。千葉県内の大学を卒業後、リゾート施設運営の老舗「星野リゾート」(長野県軽井沢町)でいちから修行を積み、妻・千尋さん(28)の祖母の出身地である九島で2020年1月、ついに念願の飲食店「nicco(にっこ)」をオープン。古民家を改装した島唯一の飲食店は、島内外の人の交流の場ともなっています。「料理だけでなく、九島の自然や文化、人柄を知ってもらうことで『また来たい』と思ってもらえる場所にしたい」と、日々アイデアを巡らせています。

  • 星野リゾートでいちから接客ノウハウを学ぶ

     生まれも育ちも市原市。大学では工業デザインを学びましたが、もともと料理が好きで、喜んでくれる人の顔を見るのがうれしくて。学生時代から「料理だけでなく、あそこに行ったら楽しい」と感じてもらえるお店を開きたいと思っていました。
     就活中、ゼミの先生から教えられたのが星野リゾートです。社員一人一人が何でもこなす社風と聞き、接客業を学ぼうと決めました。入社後は沖縄県の小浜島を皮切りに、福島県の裏磐梯、京都府の嵐山を経て、山梨県富士吉田市の河口湖と、全国各地のリゾート地に赴任。フロント係から、料理や清掃、アクティビティーの企画立案に至るまで、衣食住のノウハウをいちから修得しました。河口湖では新規開業から約2年半を担当し、心地よいサービス提供の仕方を教わりました。
     この仕事を通じて知ったのは「住んでみないと見えてこない土地の魅力」があることです。住民の人柄は、その土地その土地で全く違います。「将来お店を開くとき、土地の人柄が自分の目指すお店の雰囲気に合っている方がいいな」と思い描くようになりました。

  • オープンな島の言葉と人柄にひかれて

     最初の赴任地・小浜島で住み込みのアルバイトをしていた妻と出会い、2015年に結婚しました。16年には長男が誕生しました。  妻のルーツである九島を初めて訪れたとき、この島の人たちの言葉が、ざっくばらんだけどオープンな人柄にマッチしているなと印象に残りました。おおらかな人柄や島の歴史、文化に触れることで「また行きたくなる島」だと感じました。
     九島は周囲およそ10キロ。自転車で一周して40分と大きすぎず、有名な観光地にはない魅力の発掘のしがいがあります。16年には九島大橋(全長468㍍)も架かり、宇和島市中心部からも近くなりました。ここならやりたいお店ができるんじゃないか、やってみようと決断。協力隊員となって赴任しました。
     ただ、「島にはおいしいものがある、いい雰囲気がある」だけでは限界があります。何かきっかけがないと、外からは来にくいのではないかと考え、協力隊の活動では、ミカンの収穫体験やみそづくり体験など、島の人と交流できる仕掛けを展開してきました。同時に島の人を通じて県外に住む所有者の快諾を得て、築60~100年の古民家をボランティアの手を借りながら改装し、2020年1月、念願の飲食店「nicco(にっこ)」オープンにこぎ着けました。

  • アコヤガイの貝柱にブリ、かんきつ…「旬」召し上がれ

     店名には「日光のように温かい」という意味と、お客さんはもちろん僕ら自身も笑顔でとの思いを込めました。ロゴマークは太陽と魚と、橋を渡る手前から見える島をイメージ。空間デザインは妻の担当で、四つあった部屋のふすまを取って大勢が集まれる広い空間を作りました。流木を拾ってきて飾ったり、知人にイラストを描いてもらったり、イメージにだんだん近づいてきました。
     私が調理を担当し、島でとれた旬の魚や野菜を取り入れたメニューを提供しています。今の季節なら原木シイタケやアコヤガイの貝柱。ハーブバターで炒めた貝柱はかめばかむほど味わい深く、白ワインに合います。ブリは燻製にしてワインビネガーやバルサミコでカルパッチョ風に。揚げたてのサーターアンダギーには九島で採れた蜂蜜をかけたアイスを添えて。日本全国から集めたお酒やワインも楽しめます。島ではかんきつ類の栽培も盛んで、紅まどんなを使ったリキュールや、レモンを使ったビールなども。ビールは松山市内の醸造所が開発中で、春ごろには飲めるようになります。

  • 「また行きたくなる理由」をつくりたい

     協力隊活動の中で取り組んできた、地元のおばあちゃんが教えるみそ造り体験も続けたいですね。地域や家庭ごとに味が違うみそ。九島ではお姑さんからみそ作りを任されると一人前と認められた証しだそう。こうしたエピソードを島の人に語ってもらいながら大豆を蒸し、合間にヨモギを摘んできてよもぎ餅を蒸したり、畑で野菜を収穫したりしています。体験会には市内外、高知県からも参加がありました。中には、今もおばあちゃんと連絡を取ってみそ造りのアドバイスをもらう人もいます。こんなふうに「また九島に行きたい理由」ができるんだと思います。

  • 新たにウエディング事業もスタート

     1月からは、ウエディングプランナーの妻が、ウエディング事業をスタートさせました。日本で結婚式といえば式場で挙げるイメージですが、海外では自分たちがプランナーと相談して挙げたい場所で理想の結婚式を挙げます。フォトジェニックな九島の自然の中で写真を撮ったり動画を撮影したり、生涯忘れられない思い出をつくるお手伝いをします。
     1月末で協力隊は任期満了となりましたが、僕らの挑戦が軌道に乗るには10年くらいはかかるかなと思っています。僕らのやっていることに少しでも可能性を見いだしてくれて、島に住んでみようとか、島を盛り上げたいとか、後に続く人ができればうれしいですね。

  • 就活生へMESSAGE

    誰よりも笑って生きよう、決めるのは自分。

     「誰よりも笑って過ごす」。これが私の人生の目標です。中学3年生の時に決めました。楽しくないと笑えません。日々、楽しいことばかりではないですが、楽しめる方法を探し、取り組むように心がけています。
     決断を迷うときも多々あります。決めるまではいっぱい悩み、考えますが、原点に返って「どちらの選択が笑顔でいられるか」で人生を決めたこともたくさんあります。
     正解かどうかは分かりません。自分で決めることは自由で、誰のせいにもできません。でも、決断を積み重ねた先に、楽しいことはたくさん待っていると私は思っています。違うと思ったらやめたらいいし、言っていることが変わっても良いと思います。生きていれば当然です。ただ、そこに自分の決断があり、自分で責任を取ることができればいい。
     現状維持は楽で、変化は怖いですが、いつも私はそう思いながら楽しく過ごすようにしています。今のところ、人生楽しいです。

長尾 愛里さん  岡山県出身・西条市に移住

  • 「食」のトータル
    プロデュース目指す

     東京で食品コンサルティング会社に勤めていた長尾愛里さん(28)は、起業型地域おこし協力隊として西条市に移住して3年目です。「cuddle」(カドル、寄り添うという意味)の屋号を持ち、個人事業主として食品コンサルティング業と食品卸業を営んでいます。移住の動機は「生産者に近い距離で、生産者も私も思いのこもった食品の仕事をしたかったから」。商品開発から販売まで「食」をトータルプロデュースできる存在を目指しています。

  • 農家やメーカーの商品開発を裏方で支える

     私が応募した協力隊は、地方での起業を支援する団体「Next Commons Lab」(ネクストコモンズラボ、本部・東京)と西条市の連携による起業支援に特化した制度です。食品コンサルティングでは、農家や食品メーカー、飲食店が加工品などを開発、販売する際に、検査や表示など必要な専門的な知識や、より思いの伝わるパッケージデザインや容量の決め方、販路開拓などの売り方に至るまでを裏方としてお手伝いしています。小松高校の生徒が地域と連携して取り組む、地域産品を使用した商品開発では、授業に出向いて価格設定やパッケージデザインの考え方などを教えました。
     卸業では、地元農家の野菜や果物、地元に流通している加工品を、東京時代に知り合ったバイヤーや小売店に販売しています。道の駅「小松オアシス」やスーパー「フジグラン西条」の売り場の一角でも、調味料や漬物などの加工食品やお菓子を東予地域を中心とした愛媛県の食品メーカーから仕入れて卸しています。
    昨年からは、コロナ禍で打撃を受けた飲食店を支援しようと、任意団体「デリサポ西条」を発足させ、飲食店のテイクアウトメニューを職場に届けるサービスも始めています。
     私は岡山県北部の津山市出身です。大学は東京に出ると決めていましたが、いざ上京し暮らし始めると、スーパーの野菜がおいしくないのです。すごくショックを受けました。東京の野菜は収穫からタイムロスがあります。実家では生鮮品を産直市で買っていました。その野菜はすごくおいしかったです。タイムロスの少ない食材はおいしいのだと気づいた瞬間でした。

  • 人生のテーマ「地域と食」 学生時代に決心

     それ以来、都会と地方の野菜の流通や食品について考えるようになり、地方に価値を見いだすようになりました。そこで、自分の人生のテーマは「地域と食だ」と思うようになり、地方と関わったり地域貢献したりする団体に興味を持つようにも。大学3年の時、就活も兼ねて東京の食品コンサルティング会社でインターンアルバイトをしました。先輩社員に付いて日本各地を回り、地産品を見ました。その仕事が楽しく、そのままその会社に就職しました。
     そこが愛媛県営業本部と取り引きしていて、会社の先輩に同行し松山市で開かれた地産品の商談会にサポート役として参加しました。ミカン農家やJA職員がすごい情熱を持っていて、甘平や紅まどんなの栽培の話を聞いていると、農家の工夫で品質が保たれていると感じました。私はミカンが大好きですが、愛媛の人もみんなミカンが好きなんだと思いました。仕事で関わった愛媛の方々はおおらかな人たちで仕事がやりやすく、愛媛は自分の肌に合うと感じました。

  • 生産者の近くで思いのこもった仕事を

     元々20代のうちに地方に移住すると決めていました。東京だと生産者とのつながりが広く浅くなりがちです。電話で終わりという人も結構いて、もったいないと感じていました。ちょっと生産者のところへ行きたいと思えばすぐに行け、すぐに話ができる密な距離感で、それぞれの思いがこもった仕事をしたいとずっと思っていました。良い案件があれば移住しようと情報を逐一チェックしていたところ、2018年春、西条市にNext Commons Lab西条が立ち上がることを知りました。その年の初夏、東京で開かれた起業型地域おこし協力隊の説明会で担当者と会い、即決で応募し、無事に採用していただき、その年の9月に移住してきました。

  • 農畜産物・水産物が地元で何でもそろう

     西条は海、山、川、平野があって食産業がやりやすい土地だと思います。農産や、畜産、漁業も盛んです。食品関係で何かやりたいときに地元の食材を使えるのが利点ですね。移住してきたころ、食品が生まれる最初の現場を見ようと、農家さんのところでピーマンや大豆の収穫を手伝いました。鶏を絞めてさばく体験もさせていただきました。スーパーの肉は冷たいですが、さばいた直後の肉を手にしたときの温かさに衝撃を受けました。さっきまで生きていた温かさです。「いただきます」は、まさに命をいただくことだと実感しました。
     協力隊は今年の9月で任期が終わります。その後は自分の稼ぎだけによる生活が待っています。ありがたいことに現在、頑張れば売り上げ目標に到達できる位置にはきています。今、地元の人と「ヒット商品になればいいね」とロールケーキ開発や伝統食のリブランディングを進めているところです。任期中に形にできればと思っています。

  • 指名され任せてもらえる存在へ

     会社員時代は、良くも悪くも上司がいて社長がいて、自分がミスをしても組織が盾になってくれました。一方、個人事業主は自分自身が判断され、仕事で信用を失えばそれで終わりという世界です。孤独な闘いだと腹をくくっています。それでも、その人だから仕事をお願いしよう、ということがままあります。会社名だからではなく「長尾さんにやってほしい」「一緒にやってみようよ」と。任期後も見通しがある程度立っているのは、そうした声を掛けていただく生産者やメーカー、売り場を提供していただいている方々のおかげです。「食のことなら長尾さんに」と言われる存在になれるよう、伴走者としてサポートしていきます。

  • これから就職する人へMESSAGE

    自分を信じてあげると何でもできる

     コロナ禍で先行き不透明な時代です。就職しても給料が出るのだろうか。就活している人も不安なことと思います。大事なのは自分で何をやりたいかです。具体的に決まっていなくてもいいと思っています。何となく好きそうなことや、ちょっと引かれるものを取捨選択していけば少しずつ進みたい道が見えてくると思います。
     今は情報がたくさんあり転職も普通になっています。フリーランスで、いろいろな会社とやりとりする形式も当たり前になってきました。「自己」を見られることが圧倒的に増える未来、自分のことは自分で信じてあげてほしいな、と思います。結局、自分しか自分のことを大事にできません。先が読めない未来ですが、少しでも参考になれば幸いです。

※2021年1月取材